京都府宇治市伊勢田にある稲垣産婦人科です。専門の婦人科診療はもちろんの事、女性の為の漢方診療を行っています。

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漢方薬情報(あ行)

『黄連解毒湯』(おうれんげどくとう)

90歳女性。介護福祉施設に入所中で寝たきり、軽度の痴呆がある。1週間前から39度台の高熱が続き、口腔内に潰瘍が多発して食事が取れなくなった。高熱は抗生剤の投与でさがったが潰瘍のため摂食できない状態が続いているため報告者の病院を受診した。全口腔内に浅い潰瘍が広がり一部は壊疽に陥っている。黄連解毒湯エキス剤を投与した。服用法はエキス顆粒を白湯にといてそれをうがいの要領で口腔内に1~2分とどめた後飲み込むようにする。この服用法を続桁ところ、投与2日目から3日目、4日目と潰瘍が見る見る軽快し、結局1週間の服用で全治した。報告者はこの症例のほかにも重症の潰瘍性口内炎に黄連解毒湯エキス剤を同じ服用法で投与して完治させた症例を数例経験しているという。

『黄耆建中湯』(おうぎけんちゅうとう)

45歳女性。湿疹を訴え報告者を受診。上半身に湿疹が広がっている。6年前からだという。1ヶ月前から蕁麻疹が夜になると大腿後ろ面に出るという。毎晩抗ヒスタミン剤を服用している。胃が悪く、非常に疲れやすく、汗をかきやすい女性である。黄耆建中湯(この症例は煎剤)を投与する。4ヵ月後蕁麻疹も湿疹も消失した。まだ汗をかきやすいので服用は継続している。

『黄耆建中湯』( おうぎけんちゅうとう)

5歳男児。色白で水太り。夏でも冬でも風邪を引きやすいのを改善してほしいという。黄耆建中湯(この症例は煎剤)を与えたところ次第に丈夫になり、風邪を引かないようになった。

『温経湯』(うんけいとう)

血中LH(黄体化ホルモン)値が高値で無排卵の患者100例に温経湯エキス剤を投与したところ、8週間後にはLH値が著明に低下し、エストラジオール値が著明に増加、約半数に排卵を見た。

『黄連解毒湯』(おうれんげどくとう)

51歳9男性。46歳のときに右側頭葉脳内出血を起こし、その後左片麻痺が残った。5年後(51歳)、意識混濁を伴う低栄養状態で報告者の病院に緊急入院となった。入院後栄養状態、意識状態は徐々に改善した。ところが1ヵ月後くらいから不穏状態となり暴言や暴行が頻繁に見られるようになった。精神安定剤を投与し手も症状の改善は見られない。そこで黄連解毒湯エキス剤を投与したところ不穏状態が徐々に改善され、約1ヵ月後には穏やかな状態になり易怒性は全く見られなくなった。

『黄連解毒湯』( おうれんげどくとう)

31歳男性。20歳ころから下痢、粘血便があり、近くの病院で潰瘍性大腸炎と診断され、西洋薬を処方されたが副作用のため中止した。22歳のとき漢方薬を希望して報告者を受診した。伸張180センチ、体重66キログラム。上記の症状を訴え腹部の圧痛が強い。黄連解毒湯エキス剤を投与すると1ヶ月くらいから効果が見えはじめ、3ヶ月目には症状は軽快し体重も増加しだし、9ヶ月後の現在体重73kgとなり元気に過ごしている。

『黄連解毒湯、釣藤散』( おうれんげどくとう、ちょうとうさん)

58歳断裁。5年前から抑うつ気分、不眠、食欲低下を訴えるようになった。大手自動車メーカーの有能な部長として精勤していたが、そのころから自信喪失、仕事の能率が上がらず早退、欠勤を繰り返すようになりうつ病の診断で、抗鬱薬を投与されたが記銘力障害が目立つようになり報告者の病院に入院となった。MRI 大脳皮質の全般萎縮が認められたほか、同じ話を何度も繰り返す、同じものを何回も買ってくる、外泊中自宅から100mほどのところで迷う、などからアルツハイマー型痴呆であることが明らかになった。多動、徘徊など問題行動が頻発するようになったので抗精神薬に加えて釣藤散エキス剤、黄連解毒湯エキス剤を投与したところ、4ヶ月目くらいから精神症状の改善、安定化が見られた。黄連解毒湯の大脳血流増加作用と、釣藤散の大脳神経細胞以上興奮抑制作用が効果を発揮したものであろう。

『茵蔯蒿湯』(いんちんこうとう)

本方は急、慢性肝炎、胆のう炎などに用いられる。臨床試験、動物実験をいくつか紹介する。

  1. 胆道閉鎖症34症例に本方エキス剤を6ヶ月以上投与した成績では血清ビリルビン値(黄疸の指数)が有意に減少した。
  2. 胆道閉鎖症18例に本方エキス剤を1年以上投与した成績によるとGOT、GOP、ガンマーGTPその他がいずれも有意に低下した(肝機能が改善された)
  3. 閉鎖性黄疸24例に本方エキス剤を4週間投与すると、血清ビリルビンの低下が見られ、同時に食欲不振、全身倦怠感などが著明に改善した。
  4. 実験的に肝障害を起こさせたラットに本方エキス剤を投与すると、肝、胆管障害および肝細胞障害が抑制されることが示された。
  5. 実験的に惹起された急性肝不全ラットを用いて検討したところ、生存率はコントロール群25%、本方エキス剤群50%、茵蔯蒿湯および小柴胡湯エキス剤群75%という成績であった。
  6. マウスを高脂肪高炭水化物食で飼育して肥満マウスを作成し茵蔯蒿湯エキス剤の肥満に対する影響を検討したところ、本方には肝への脂肪蓄積抑制作用と体脂肪の増加抑制作用が認められた。

『補中益気湯』(ほちゅうえっきとう)

ヘリコバクター、ピロリ感染は、胃十二指腸疾患の主要な原因のひとつであるが、同疾患の極めて有効な治療法である、抗生物質によるH’pylou除菌療法において、耐性菌の出現が問題になっている。補中益気湯エキス剤はinvitroにH`pylouの増殖を阻止するほかに、マウスの胃内に感染させたH’pylouの増殖をinvitroにも阻止することが示された。

『茵蔯高湯、六君子湯、半夏厚朴湯』(いんちんこうとう、りっくんしとう、はんげこうぼくとう)

報告者は、癌切除後の患者8例(胃がん6例、乳がん2例)に対して漢方薬を投与し、良好な結果を得た。茵蔯高湯エキス剤を3例に投与し、術後の高ビリルビン血症や肝障害を軽快させた。六君子湯エキス剤を3例に投与し、胃切除後の症状や、むかつき、胃痛に有効であった。半夏厚朴湯エキス剤を2例に投与し、食べ物つかえ感や嘔気、頭痛などの症状を軽快させた。

『温経湯』(うんけいとう)

不妊治療に際し、クロミフェンによって排卵障害、黄体機能不全は改善されるものの、クロミフェンに抗エストロゲン作用があるため排卵率に比べ妊娠率は高くない温経湯は性ホルモン調節作用があり、排卵効果があって抗エストロゲン作用はない。
症例1: 29歳。5年前結婚し一度も妊娠がない。高温相が10日間と短く、黄体機能不全である。クロミフェン1錠5日間投与を2クール行ったところ高温相が14日間に延長したが妊娠にはいたらなかった。そこで温経湯エキス剤を月経初日より投与開始したところ17日目に排卵し、高温相となり高温相15日目に妊娠を確認した。その後妊娠は順調に経過し、妊娠39週4日目に、3420グラムの男児を正常分娩した。

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