京都府宇治市伊勢田にある稲垣産婦人科です。専門の婦人科診療はもちろんの事、女性の為の漢方診療を行っています。

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漢方薬情報(や行・ら行・わ行)

『抑肝散加陣皮半夏』(よっかんさんかちんぴはんげ)

高齢者のうつ状態、痴呆状態に対する治療に際し、報告者の大学病院の入院患者のうちで、向精神薬が効きにくい症例に抑肝散加陣皮半夏エキス剤を投与し有効であった症例を呈示する。

症例1:74歳男性。主訴;夜間不穏、多弁。2年前脳梗塞発症後、施設に入所したが、大声で叫び続けコミュニケーション困難のため当院入院。抗不安薬など使用するが効果がなかった。抑肝散加陣皮半夏エキス剤(以下漢方エキス剤)を投与したところ、3週ごろより大声を出すことが無くなり、意思疎通も良好になったので、6週後投薬続行のまま介護施設入所となった。

症例2:70歳男性。主訴;暴力行為。40年前より精神分裂病。3~4回精神病院入院歴がある。その後特養入所中何回も暴力行為があったため当院入院となる。抗不安薬など試みるが改善見られず、漢方エキス剤を投与したところ、3週後より暴力行為、暴言、不穏行動が消失したため、8週後特養再入所となった。その後も服薬続行中で問題行動なしとのこと。

症例3:60歳女性。主訴;拒食、拒薬。重度の知的障害を合併する。家族の希望で院入院。拒食、拒薬のほかあらゆる治療行為を拒否し、暴言続く。
家族と相談の上、胃ろう造設、胃ろうより漢方エキス剤を投与。2週後より暴言減少。8週後症状安定し転院。経口投与で服薬続行中とのこと。

症例4:72歳女性。不穏および痴呆症状あり当院入院。頭部CTで著明な脳萎縮あり。漢方エキス剤投与3週で症状軽快し転院となった

症例5:70歳男性。外傷性くも膜下出血、脳挫傷で他院に入院加療中、痴呆症状出現し当院入院となる。暴言、妄想、不穏が続く。向精神剤を投与するが改善が見られず、漢方エキス剤を投与したところ3~4週後より不穏行動消失し、8週後に介護施設入所となった。

症例6:66才男性。脳梗塞で他院入院中、易怒で暴力行為を繰り返す。当院入院し、漢方エキス剤を投与したところ、4週後は易怒、暴力行為がなくなり8週後転院となった。


81歳、男性。3回の脳梗塞後、長期療養のため報告者の病院に入院。
鬱症状による食事拒否があるため向精神薬を投与したが徐脈、めまいが出現したため中止。抑肝散加陳皮半夏エキス剤を投与したところ数週間後から鬱症状が軽快しだし、食事拒否も減り、感情失禁も改善された。


MRIなどの進歩により、潜在性(無症候性)脳梗塞によりうつ状態を呈する人々が存在することが明らかになってきた。79歳の女性が抑うつ、不眠、物忘れを主訴に報告者の神経科を受診した。抗欝薬、抗不安薬、睡眠薬を投与したが無効であるばかりか口渇、便秘など副作用を強く訴えた。

一方МRIで多発性脳梗塞の所見を認めたのでさらに脳循環.代謝改善薬も追加投与したが一向に症状は改善しなかった。そこで抑肝散加陣皮半夏エキス剤の投与を開始したところ、2週間後には少し改善が見られ、8週間後にはすべての症状が消失した。


メージュ症候群とは不随意な強いまばたきが次第に増加し、進行するとまぶたを開けることが出来なくなるという疾患である。抑肝散加陣皮半夏エキス剤を持続投与し、3~4ヶ月後にはかなりの有効性(まぶたを開けている時間が長くなった)が認められたという症例が報告された。


7歳の男児。主訴は反復して喉を鳴らすチック症状。母親はイライラして絶えずガミガミと怒る。抑肝散加陣皮半夏エキス剤を母子に同時に投与したところ母親がやさしくなると共に患児のチックは消失した。


69歳女性。10年前に事故で車のフロントガラスに左目をぶつけ、打撲傷。
数日で治癒。最近同部に腫脹を伴う痛みが出現。いろいろ治療を受けたが効果なし。抑肝散加陣皮半夏エキス剤を投与したところ、3日目に痛みも腫脹も消失した。


癌患者の抱える精神的苦痛は、計り知れないものがある。少しでも軽減してあげたいが、全身状態が変化しやすく、薬物の副作用の出やすい癌患者では、例えば向精神薬なども、服薬拒否となったり、苦痛をさらに高めることになりかねない。各種の癌の患者で、怒り、不安、イライラ、を主訴とし漢方薬服用に同意した10名に抑肝散加陳皮半夏エキス剤を2週間から5週間投与したところ著効2名、有効5名、無効3名、したがって有効率70%であり、特に副作用は認めなかった。


最近、キレる若者が問題になることが多い。症例は13歳の男性(中学2年)。
中学1年のときから級友から罵声を浴びせられ、殴られたり、蹴られたりしだんだん不登校になり母親が心配して報告者の神経科受診となった。
本人が言うには些細なことでイライラする。ナイフで人を刺したくなる。自分がキレるのが怖い、向精神薬の服用は絶対いやだということである。抑肝散加陣皮半夏エキス剤の投与を開始したところ、2週間後、4週間後とイライラが軽減して行き、8週間後にはイライラが完全に消失した。


強迫性障害は手洗いやガス栓、鍵の確認などを長時間繰り返す。本人はそれが無意味な事はわかっており、止めようとするが止められない。
非常に苦痛である。症例は27歳の女性で、中学生ごろからドアのノブも汚いと思い触れない。手洗いを何十分もする。風呂で体を何回も洗うなどの強迫行為で苦しんでいた。
精神科で薬をもらったが薬疹が出て中止、漢方薬を希望した。抑肝散加陣皮半夏エキス剤を持続投与したところ、2週間で手洗い、入浴が半分になり、4週間で手洗いが自分で止めようと思えば止められる状態まで症状が寛解した。

『六君子湯』(りっくんしとう)

胃の手術後に発生する逆流性食道炎の患者数名に対し六君子湯エキス剤を投与したところ、ほぼ前例が治癒した。
その後胃の手術患者を六君子湯投与群と非投与軍に分けて比較した結果、投与群が有意に自覚症状も少なく内視鏡的にも軽症であることが確認された。


現在、肺結核症は短期化学療法でほとんど治癒する。しかし嘔気、食欲不振といった消化器症状の副作用のため化学療法の継続が困難になる場合も少なくない。
報告者は、肺結核の治療に抗結核剤のリファンピシンにより出現した嘔気、食欲不振に対して六君子湯エキス剤が有効であった4例を経験した。
うち2例は嘔吐に対し制吐剤がまったく無効であったが、六君子湯で速やかに嘔吐が消失した。


消化器不定愁訴を訴えた25例に六君子湯エキス剤を投与したところ、4週間で18例に著効を見た。
その1例を示す。48歳女性。嘔気を伴った胃もたれ、食欲不振などあり。近医で西洋薬を投与されたが改善しなかったため報告者を受診。
胃内視鏡で潰瘍や癌は認めず慢性萎縮性胃炎と診断した。六君子湯エキス剤を投与したところ2週目には諸症状の改善が見られ4週目には諸症状は完全に消失した。希望により服薬継続中である。


報告者の消化器内科を受診したNUD(Non-ulcer dyspepsia)のうち他剤では十分の効果が見られない44例に六君子湯エキス剤を投与し、病型別に効果を検討した。
その結果運動不全型(NUDで最も多い型)では極めて有効(有効率73.3%)であったが、潰瘍類似形と胃食道逆流型ではそれぞれ40%、22.2%と有効率は低かった。
またNUD以外に効果が認められた症状としては、冷えやほてり、肩こり、抑鬱、めまいなどがあった。


小児の食道閉鎖症の手術後、1年以上たっても食欲不振で体重や身長の伸びがもうひとつという例に六君子湯エキス剤を投与すると2週間以上になると食欲の増進、食事量のアップ、が見られ、さらに数ヶ月経過すると身長、体重の数値が改善されてくる。


運動不全型のNUD(非潰瘍消化障害)、すなわち食欲不振、胃もたれ、嘔気などを4週間以上訴え、内視鏡検査では潰瘍、炎症、悪性腫瘍などを認めない患者を対象とし、21例(男性10例、女性11例、年齢38~64歳)に六君子湯エキス剤を4週間投与して検討した結果、六君子湯は上部消化管愁訴を60%前後有効率をもって改善した。

『六君子湯、香蘇散』(りっくんしとう、こうそさん)

症例1:34歳男性。通年性アレルギー性鼻炎で受診。生活は極めて不規則で軟便傾向。イライラしやすい。

症例2:32歳男性。通年性アレルギー性鼻炎で受診。生活極めて不規則で軟便傾向、疲労感が強い。

両症例とも六君子湯、香蘇散両エキス剤の合方を投与したところ約1ヶ月で症状が消失、以後再発は見られなかった。

『六君子湯、半夏厚朴湯』(りっくんしとう、はんげこうぼくとう)

40歳男性。数ヶ月前よりゲップが発生し徐々に増悪するため来院。内視鏡で食道炎を認めた。
プロトンポンプ阻害薬と消化管運動促進薬を2週間投与したが無効であった。そこで六君子湯エキス剤と半夏厚朴湯エキス剤を併用したところ、徐々にゲップは軽快し、8週間後にはゲップは消失、内視鏡では食道炎の所見が消失した。

『竜胆瀉肝湯』(りゅうたんしゃかんとう)

27歳女性。以前から下腿に湿疹が出来ていたが2ヶ月間のダイエット(8kg減)の後、急に悪化、化膿性の皮疹が発生、消褪後は色素沈着を残すのを繰り返していた。竜胆瀉肝湯エキス剤を投与したところ、約1ヵ月後には化膿性皮疹が出現しなくなった。

『苓甘姜味辛夏仁湯』(りょうかんきょうみしんげにんとう)

43歳女性。感冒後に咳嗽と喀痰が1ヶ月以上続いている。最近胸痛と呼吸困難を訴えるようになって来院した。
顔色は蒼白、貧血状でややむくんでいる。動悸も激しく、薄い痰がたくさん出る。非常に冷え性である。
苓甘姜味辛夏仁湯(本症例は煎剤)を投与し1週間で症状の軽快があり、3ヶ月で完治した。


39歳女性。クシャミ、鼻水、鼻閉があり小青竜湯エキス剤を投与したところ胃腸の調子が悪いという。苓甘姜味辛夏仁湯エキス剤に変方したところ、内服4週間で鼻炎、胃疾ともに軽快した。

『苓桂朮甘湯』(りょうけいじゅつかんとう)

70歳の女性。主訴はめまいと嘔気で報告者の大学病院内科を受診。同時に耳鼻科にも通院しながら種々の治療を受けたが2年間症状は軽快しなかった。
苓桂朮甘湯エキス剤の投与を開始したところ患者は症状が軽くなってきたと述べた。2週間後に来院したときにはめまいと嘔気は完全に消失していた。

『六味地黄丸』(ろくみじおうがん)

4歳女児。生まれてから現在まで尿が一日中少しずつ漏れて、いつも外陰部が濡れておりそのため外陰部から肛門のあたりまで爛れている。ただし健康状態は良好ですこぶる元気である。
六味地黄丸(この症例は煎剤である)の投与を開始した。
2週間服用してもまったく効果が見られない。ところが3週間目の3日目、薬を服用したところで尿漏れがピタリとやんで、1日5~6回普通に排尿するようになった。

『抑肝散加陳皮半夏』( よくかんさんかちんぴはんげ)

90歳女性。慢性腎不全のため2年前から維持透析を開始し、しばらくして夜間臥床時に下肢が屈曲する筋痙攣が頻発するようになり、次第に上肢や首にも同様の不随意運動が広がり、その結果不眠となり強くイライラするようになった。他院で精神安定剤や睡眠剤を投与されるが無効で、夜間『死にたい。殺してくれ』など不穏な状態になったので報告者を受診。抑肝散加陳皮半夏エキス剤を投与したところ3日目から不随意運動が減少し始め、2週間後には不眠、イライラを含むすべての訴えが著明に軽快した。

『抑肝散』(よっかんさん)

4歳9ヶ月男児。1年前からチック症状(目をぱちぱちしたり、「カッ、カッ」と発声したりぴょんぴょん飛び跳ねる)が出現、小児科で治療を受けるが改善せず症状の増悪を見たので報告者の脳神経外科を受診した。母親も神経質でヒステリックな印象があったので抑肝散エキス剤を母児同服として投与したところ、チック症状も著明に減少し、母親も穏やかになり6ヶ月の服用で治療を終了した。

『六君子湯』(りっくんしとう)

79歳男性。12年前よりクレスト症候群(強皮症の亜型出て足の皮膚硬化、末梢循環障害、消化管の機能低下を特徴とする。)で報告者の大学病院に通院している。胃のもたれや膨満感が強く眠りを妨げるほどである。消化酵素剤、整腸剤など投与するが殆ど効果が無く、体重が50キロ(身長169センチ)まで減少した。そこで六君子湯エキス剤を投与したところ、食欲が改善され、投与開始15ヵ月後の現在体重は54キロまで回復している。


44歳女性。2ヶ月ほど以前から嘔気、胃部膨満感、食欲不振を訴え、他院でH2ブロッカー、胃粘膜保護剤、消化管運動促進剤の投与を受けたが症状の改善は見られなかった。そこで報告者を受診、運動不全型のNUD (Non-ulcerdyspepsia)の診断で六君子湯エキス剤の投与を開始した。10日目ごろから各症状の改善が認められ、30日目ごろにはすべての症状が消失した。患者の希望で4ヶ月目の現在も投与継続中である。

『六君子湯、柴胡加竜骨牡蠣湯』(りっくんしとう、さいこかりゅうこつぼれいとう)

34歳女性。主訴: 頭痛、動悸、冷え、ほてり、食欲不振、全身倦怠、その他。元来は健康。23歳で結婚、夫は出張がちで孤独を感じることが多かった。さらに拳児希望の患者に反し夫はそうではなく、寡黙で忍耐強い患者は夫に不満を告げることも無かった。31歳のとき、夫が交通事故で入院、献身的に看病して夫は無事退院、そのころから頭重感、立ちくらみなどを自覚するようになった。いくつかの病院を受診し自律神経失調症などの病名で西洋薬の処方を受けたが効果が無く愁訴が次第に増えた。精神科を受診し向精神薬を投与されたが効果なく、別の精神科で自律訓練法を受けたがいずれも効果がなかった。32歳ごろから症状が悪化に対する懸念から外出するのが苦痛となった。ある日、買い物先で不安発作に襲われ救急車で報告者の心療内科を受診した。諸検査では異常を認めず、「身体表現性障害」と診断した。患者は抗鬱薬や抗不安薬をはじめとする西洋薬に拒否的であり漢方治療を選択することとなった。初診時患者の最大の苦痛は食欲不振、胃もたれ、など消化器症状であったので六君子湯エキス剤を投与した。6週間で消化器症状は軽快してきたので動悸、胸苦しさを目標に柴胡加竜骨牡蠣湯エキス剤を投与したところ、2週間目で多くの愁訴が急速に改善した。その後3ヶ月目の現在同方剤を続けているが全身状態は良好である。

『立効散』(りっこうさん)

味覚障害は高齢者によく見られる症状である。症例は83歳女性。2週間前から口の中に常に苦味を感じるようになり、内科で含嗽剤とビタミン剤を処方されたが改善せず報告者の大学病院口腔外科を受診した。自覚性異常味覚と診断し、立効散エキス剤を投与したところ、苦味は3週間後に3割程度に軽減し、5週間後には消失した。


本方は歯痛に用いられる処方であるが、難治のことが多い。舌痛症に本方が著効を示した症例が報告された。
症例1: 58歳男性。舌痛は10年前から始まった。耳鼻科では問題ないといわれたが気になるので歯科で歯の研磨を受けたが舌痛には変化が無かった。報告者の大学病院口腔外科を受診、舌左側にピリピリした不快な痛みを絶えず感ずると訴えた。臨床的に下に異常所見は無くまた会話、食事には支障はない。舌痛症と診断し立効散エキス剤を投与した。その結果2週間で舌のピリピリ感はほぼ消失し、4週間で完治した。

『竜胆瀉肝湯』(りゅうだんしゃかんとう)

65歳男性。頻尿および残尿感を訴えて報告者の泌尿器科を受診。検査の結果、膀胱炎も前立腺炎肥大も否定され、排尿障害の診断のもとに竜胆瀉肝湯エキス剤を投与したところ、3週間後には症状の著しい軽快を認めた。