京都府宇治市伊勢田にある稲垣産婦人科です。専門の婦人科診療はもちろんの事、女性の為の漢方診療を行っています。

HOME 病院案内 診察案内 漢方案内 漢方薬自験例 アクセス

老人特有の症状

ざ瘡に対する漢方方剤2剤併用の効果

  • 症例

    報告者はまずざ瘡に用いる5種類の漢方製剤について、その証(選択の目安)を以下のようにマニュアル化した。
    十味敗毒湯は「患部の化膿傾向が強い」、荊芥連翹湯は「皮膚が浅黒く患部の赤みがきつい」、黄蓮解毒湯は「赤ら顔で不眠、イライラを訴える」、清上防風湯は「発赤い隆起がはっきりしていて化膿も強い」、桂枝茯苓丸は「紫色あるいは白色の皮疹で、お血症状(生理痛、便秘、月経不順など)を伴う」以上である。
    この証に従って単剤投与した結果、改善以上の効果は80%であった。一方、色素沈着、紅班の強い症例には荊芥連翹湯と桂枝茯苓丸の併用を試みたところ、改善以上の効果は100%であった。尚証使用漢方薬はすべてツムラ、エキス顆粒(医療用)である。

高齢者のうつ状態と貧血に十全大補湯が有効であった症例

  • 症例

    86歳女性。老人保健施設入院中である。
    日中殆ど就床し、鬱傾向が強く、食欲不振、全身倦怠を強く訴える。
    Hb7.8g/dlの鉄欠乏性貧血は鉄剤を投与してもなかなか軽快しない。そこで十全大補湯エキス剤の投与を開始した。
    20日目ぐらいからうつ状態の軽快が見られた。
    8週間後にはHb12.2g/dlと正常化した。
    6ヵ月後の現在も服薬継続中であるが、生活意欲の向上も見られ、顔色もよく食欲も増進している。

夜間瀕尿に対する牛車腎気丸の効果

  • 症例

    報告者の病院の泌尿器科に通院する前立腺肥大症あるいは前立腺ガンの患者9例(年齢53歳~85歳)の夜間瀕尿を訴えるものに証を考慮せずに牛車腎気丸エキス剤を8週間投与して効果を検討したところ、66.6%という高い有効率が得られた。
    無効例は3例(33.3%)であったが証にあわない投与をしたためか胃部不快感、心季亢進などの副作用を認めた。

痤瘡に対する漢方方剤2剤併用の効果

報告者はまず痤瘡に用いる5種類の漢方製剤について、その証(選択の目安)を以下のようにマニュアル化した。十味敗毒湯は「患部の化膿傾向が強い」,荊庎連翹湯は「皮膚が浅黒く患部の赤みがきつい」、黄蓮解毒湯は「赤ら顔で不眠、イライラを訴える」、清上防風湯は「発赤い隆起がはっきりしていて化膿も強い」、桂枝茯苓丸は「紫色あるいは白色の皮疹で瘀血症状(生理痛、便秘、月経不順など)を伴う」以上である。
この証に従って単剤投与した結果、改善以上の効果は80%であった。一方、色素沈着、紅班の強い症例には荊庎連翹湯と桂枝茯苓丸の併用を試みたところ、改善以上の効果は100%であった。尚証使用漢方薬はすべてツムラ、エキス顆粒(医療用)である。

高齢者のうつ状態と貧血に十全大補湯が有効であった症例

86歳女性。老人保健施設入院中である。日中殆ど就床し、鬱傾向が強く、食欲不振、全身倦怠を強く訴える。Hb7.8g/dlの鉄欠乏性貧血は鉄剤を投与してもなかなか軽快しない。そこで十全大補湯エキス剤の投与を開始した。20日目ぐらいからうつ状態の軽快が見られた。8週間後にはHb12.2g/dlと正常化した。6ヵ月後の現在も服薬継続中であるが、生活意欲の向上も見られ、顔色もよく食欲も増進している。

顎関節炎の激しい痛みが桂枝加朮附湯で速やかに改善した症例

変形性顎関節炎がNSAIDs や、関節ブロックで改善されることが多いが本症例のようにそれらの治療が無効な場合もある。

症例1:74歳女性。右側顎関節に激痛と開口障害を生じて整形外科を受診、NSAIDs(非ステロイド消炎鎮痛剤)の投与を受けたが無効、外科に転院し、関節ブロックを3回受けたが無効であった。報告者の大学口腔外科に紹介受診しMRIで変形顎関節炎と診断した。やせて冷え性、食欲不振などから表寒虚症と診断し、桂枝加朮附湯エキス剤の投与を開始した。2週間後から痛みと開口障害の軽減が見られ、5週間後にはほぼ正常に復したがその後さらに4週間服薬して治療を終了した。

在宅酸素療法患者に対する漢方薬の効果

症例:67歳男性。息切れが強く肺気腫の診断で在宅酸素療法を開始したが、それ以来全身倦怠感と食欲不振を強く訴えるようになったので補中益気湯エキス剤を投与したところ4週間後には倦怠感と食欲不振が著しく軽快し、さらに息切れの改善も見られた。

補中益気湯が奏功した便秘の1症例

脳卒中後7年間寝たきりで毎日浣腸で兎糞状排便しか見られなかった73歳の男性に補中益気湯エキス剤を投与したところ、2日目から自然排便が出来、1ヵ月後には便も普通便となった。気虚による便秘だったのであろう。

アルツハイマー型老年痴呆に抑肝散が奏効した1例

高齢の痴呆患者で、抑うつ状態と攻撃性興奮状態の両者が目立つ症例は薬物の選択や副作用の点で向精神薬を用いた薬物療法が極めて困難なことが多い。 症例:82歳男性。4年前から痴呆症状が出現した。最近怒りっぽくなり「財布を取られた」など興奮して攻撃的態度が目立つようになったので報告者の大学病院に入院、MRIで大脳皮質全般に萎縮を認め、アルツハイマー型痴呆と診断し、塩酸ドネペジルを開始したところ「物忘れが激しい、こんなになってはもうだめだ。」と抑うつ的になった。興奮状態も激しいため、リスペリドンに変更したが抑うつ状態はさらに悪化し食欲も低下した。「病人を粗末にしている」としばしば怒鳴るなど抑うつ気分、攻撃的言動が顕著であった。そこでリスペリドンを中止し抑肝散エキス剤の投与を開始した。1週間後から訴えが激減し、怒鳴ることもなくなり、食欲も徐々に回復した。1ヵ月後の現在、精神状態は改善され、安定した状態が続いている。

肺気腫に伴う息切れに八味地黄丸の有効例

八味地黄丸は老人の夜間頻尿に使用する機会が多いが、さらに漢方的には腎陽虚による腎不納気、すなわち老人の呼吸困難にも有効な例がある。

症例:80歳男性。8年前から労作時の息切れがあって、次第に増悪したため報告者を受診。肺気腫と診断し、八味地黄丸エキス剤を投与したところ20日くらいから効果が見られ、呼吸不全も次第に改善された。

長期間続いた頚部痛に葛根湯が奏効した1例

症例:82歳女性。8年前から後ろ頚部から右肩にかけての痛みを感じるようになり、歩いていると首が痛くて気持ち悪くなって途中で歩けなくなるという。近医内科を受診しNSAIDs(非ステロイド抗炎症薬)の内服を4年間続けたが効果はなく、4年前報告者の病院整形外科を受診した。NSAIDsの投与と頚部牽引を4年間続けたが症状は全く改善しなかった。そこで葛根湯エキス剤の投与を開始した。2週間目から頚部の改善が見られ、4ヶ月で症状が消失した。

肺炎後の体調不良に補剤が有効であった1例

症例:62歳男性。右肺の肺炎と胸水で1週間近医に入院。肺炎は治ったが胸水は残存し、咳、痰、食欲不振、体重減少が続くため報告者の大学病院肺内科を受診した。漢方的に気虚、気鬱と診断し、人参養栄湯エキス剤と補中益気湯エキス剤を併用をウよしたところ咳、痰、食欲不振、体重減少、胸水が次第に改善され、8週間後にはすべての症状が消失して体重も3キロ増加した。

脳梗塞による吃逆(しやっくり)に呉茱萸湯が有効であった1例

脳梗塞に伴って見られる吃逆は難治性のことが多い。

症例:83歳男性。左片麻痺出現した翌日報告者の市立病院脳神経外科を受診しMRI では延髄右外側の脳梗塞を認めた。治療により神経症状は次第に改善しつつあったが、来院より約1ヶ月過ぎて吃逆が出現し、徐々に増悪、夜にも持続するようになって不眠を生じた。又、吃逆に加えてむせこみも強くなったため食事摂取が不可能になった。そこで呉茱萸湯エキス剤の投与を開始したところ、最初の夜から吃逆が著明に減少し眠れるようになったばかりか、その後は
吃逆は減り続け食事摂取も可能となり、投与1週間で吃逆は消失した。

高齢者の呼吸困難(胸水)に五苓散の著効例

症例:92歳女性。日常生活はほぼすべて可能で元気に暮らしていたが自宅で転倒し、右上腕骨骨折のため入院となった。入院後突然呼吸困難をお越し、胸部CTで胸水貯留を発見した。利尿剤を投与したが尿量も増えず呼吸困難が続いた。そこで五苓散エキス剤を投与したところ、翌日には尿量が1リットル以上増加し、呼吸困難も軽減が見られた。約2週間後にはCT上で胸水が消失し呼吸困難も消失して退院となった。現在は自宅でほぼ骨折発生以前と同じ日常生活が可能となっている。

口腔扁平舌苔癬に十全大補湯が奏功した1例

症例:70歳女性。6年前から頬粘膜の糜爛、潰瘍を訴え、皮膚科でステロイド内服療法を受けて軽快したもののその後も再発を繰り返したが放置していた。昨年頬粘膜の刺激痛があり報告者の大学病院口腔外科を受診した。セファランチン、アズノールで治療をしたが効果が無かった。病理組織検査で口腔扁平舌苔癬の確定診断を得たが、糜爛、潰瘍の増大傾向が見られたため、十全大補湯エキス剤の投与を開始した。1週間後から頬粘膜病変の縮小が見られ、2ヵ月後には頬粘膜のすべての糜爛、潰瘍が消失した。その後再発も診られないが患者の希望もあり投与継続中である。口腔扁平舌苔癬は潰瘍を伴う場合は前癌状態として経過観察が必要である。原因は不明であるが免疫異常との関連が示唆されている。十全大補湯は近年、免疫賦活作用が確認されており本症状に対する効果も免疫賦活作用によるものと推測される。

白虎加人参湯

本方は高熱、激しい発汗、激しい喉の渇きを目標に使用される方剤であるが、近年は種々の原因による口渇の治療にも使用される。 1)高齢者の口腔内乾燥症30例に本方を投与し18例(60%)の患者に症状の改善を見た。 2)血液透析中口渇を訴える8例に本方を10週間投与したところ4例で口渇が改善した。 3)向精神薬の副作用として強い口渇を訴えた117例の患者に本方を投与し73%に改善が認められた。 4)尿失禁、頻尿治療剤である塩酸オキシブチニンの副作用である口渇を訴える20例の患者に本方を投与して有効率は95%であった。 5)頭頚部の癌の治療のため放射線照射を行ったために生じた口腔、咽頭感染症13例を対象にして本方を投与したところ、口渇の改善度は投与期間4週以内で42%、5~8週では86%であった。

肺気腫に対する漢方治療

症例:86歳男性。呼吸困難と激しい咳き込みを訴え近医で肺気腫の診断でテオフィリン、塩酸マブテロールを処方されたが症状改善せず報告者を受診、腹満と便秘を目標に大柴胡湯エキス剤と半夏厚朴湯エキス剤を合剤として投与した。その結果便が1日2~3回かなりの量毎日出、それにつれ胸苦しさと息切れが次第に軽快し、1ヵ月後には完治にいたった。

難治性の造血器疾患に十全大補湯有効2例

骨髄異形成症候群(MDS)は造血障害を主体とする疾患で血球減少を特徴とし、高年齢者に好発する。しかも高齢者(65才以上)の場合通常、輸血以外有効な治療手段がない。今回高齢MDS患者に十全大補湯エキス剤を投与して輸血を中止することが出来た2例を報告する。

症例1:73歳女性。検診で汎血球減少が見つかり報告者の病院血液内科に紹介受診。骨髄穿刺でMDSと診断。患者の希望もあり直ちに十全大補湯エキス剤の投与を開始した。最初は1~2回/月輸血していたが輸血回数が次第に減少し、投与開始1年半後を最後に現在約9か月輸血はしていない。

症例2:69歳男性。近医で血小板減少を指摘され報告者に紹介される。骨髄穿刺でMDSと診断。貧血は徐々に悪化。輸血回数も次第に頻回となった。蛋白同化ホルモン、サイクロスポリンを投与したが両者共に無効であった。初診より1年4ヵ月後より十全大補湯エキス剤の投与を開始した。次第に輸血が減少し本方開始1年目に輸血不要となった。

緊張性頭痛に柴胡加竜骨牡蠣湯の著効例

症例:87歳男性。20年前から頭痛不眠に悩まされている。ストレスのあるそうな性格と思えたのでそれを目標に柴胡加竜骨牡蠣湯エキス剤を投与したところ、約1ヶ月で頭痛、不眠が改善した。7ヶ月後の現在も服薬を継続中である。

真武湯合加味逍遥散が奏功した冷え性の著効例

症例:82歳女性。大腿部外側の冷えを訴えて受診。真武湯エキス剤を投与、7ヶ月たっても冷えは続く。加味逍遥散エキス剤を真武湯に合方して投与することとした。1ヵ月後はじめて冷えが良くなってきたという。その6ヵ月後の現在も服薬を続けている。肝気うっ滞もまた冷えの一因であったために加味逍遥散が有効となったのであろう。

口腔乾燥に八味地黄丸が奏功した1例

症例:76歳女性。2ヶ月前より舌の疼痛があり軽快しないので報告者の大学病院口腔診断科受診。口腔内の著しい乾燥状態を認めた。八味地黄丸エキス剤を投与した。1週間後乾燥状態の軽快と舌痛の軽快を認め、その後1週間の服薬で治療を終了した。

逆流性食道炎に対する半夏厚朴湯の効果

症例:82歳男性。食欲不振、胃もたれ感、胸焼けを訴え報告者を受診。神経質な言動が見られたので、それを参考に半夏厚朴湯エキス剤を投与した。その10日後に近医を受診、逆流性食道炎と診断されプロポンプ阻害薬(PPI) を処方されたが胸やけ以外の症状は改善しなかったという。患者が言うには「よく考えてみれば漢方薬(半夏厚朴湯)を内服していたときには他の症状も軽快していたように思う。同じ漢方薬が欲しい」そこで半夏厚朴湯エキス剤を再度処方しPPIとの併用を指示した。約3週間の服用で逆流性食道炎のすべての症状が消失した。

急性下肢虚血対する漢方薬の奏効例

閉塞性動脈硬化症は食生活の欧米化、平均寿命の延長に伴い増加傾向にある。下肢に生じる冷感、間歇性跛行を生じる。一方急性下肢虚血は下肢血流の突発的な急減であり、下肢切断の危険をはらむ。

症例:77歳男性。喫煙歴(20本/1日、57年間)あり。1年7ヶ月前ごろから間歇性跛行出現、その1ヵ月後から下肢冷感と痛みが出現したため報告者の病院心臓血管外科に入院となった。左下肢の急性動脈閉塞症の診断で即日血栓除去術を施行、その後各種薬剤(血管拡張薬、抗血小板薬、抗血栓薬)の使用および動脈バイパスなどを加えたが症状好転が見られないため、入院20日目より当帰四逆加呉茱萸生姜湯エキス剤を追加投与したところ、7日目ぐらいから足指の痺れ感およびチアノーゼの軽減が認められ、50メートル歩行が可能になり投与開始10日目に退院となった。6ヵ月後には1キロ以上間歇性跛行無く歩けるようになり1年3ヶ月経過した現在、症状の悪化は認められない。